【社労士監修】休日出勤の代わりに休むのは振休?代休?運用の注意点を解説
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- 代休
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休日に出勤した代わりにお休みをとる制度は多くの企業で運用されています。「振替休日(振休)」と「代休」がよく知られていますが、この2つは明確な違いがあり、運用上注意が必要です。この記事では「振替休日」「代休」の違いと給与計算への影響を解説します。
【参考】「振替休日」と「代休」の違いとその注意点 (東京労働局『労働基準法のあらまし2018」より引用)
休日出勤と振替休日に関するポイントと根拠法令
振替休日、代休に関しては法律の定めはないため、通達からそれぞれの運用上の注意を確認します。また、振替休日は法定休日の日付が変更されることから、法定休日に関する定めにも注意が必要です。
ポイント①:就業規則等に振替休日の定めがある場合、休日と所定労働日を入れ替えられる
根拠①: 休日の振替を行う際の留意点(昭和23年7月5日基発968号、昭和63年3月14日基発150号)
業務等の都合によりあらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とするいわゆる休日の振替を行う場合には、就業規則等においてできる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましいこと。なお、振り替えるべき日については、振り替られた日以降できる限り近接している日が望ましいこと。
ポイント②:振替休日を含む週で時間外労働が発生した場合は割増賃金の支払いが必要
根拠②:休日の振替と時間外労働(昭和22年11月27日基発401号、昭和63年3月14日基発150号)
就業規則に定める休日の振替規定により休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働とはならないが、振り替えたことにより当該週の労働時間が一週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する三六協定及び割増賃金の支払が必要であることに注意されたい。
ポイント③:事前に振替休日を特定しないで休日出勤し、事後に代償の休日を与えたとしても振替休日にはならない
根拠③:昭和23年4月19日基収1397号、昭和63年3月14日基発150号
(問)就業規則に、休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって所定の休日と所定の労働日とを振り替えることができるか。
(答)(一)就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない。
(二)前記一によることなく休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれに当たらないこと。
ポイント④:振替休日を特定する場合には、特定後も法定休日が1週に1日または4週に4日確保されるようにしなければならない
根拠④-1:労働基準法第35条第1項
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
根拠④-2:労働基準法第35条第2項
前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
休日出勤と振替休日の運用の具体例
就業規則等で週の始まりが日曜日、法定休日が日曜日、所定休日(法定外休日)が土曜日と定められてるとします。
(1)同一週で法定休日を振り替える場合
日曜日に出勤することになったため、火曜日に法定休日を振り替えるケースを考えます。振替を行うと日曜日が所定労働日扱い、火曜日が法定休日扱いとなります。同一週での振替なので、法定休日確保の問題は発生しません。
(2)異なる週で所定休日(法定外休日)を振り替える場合
土曜日に出勤することになったため、翌週の火曜日に所定休日を振り替えるケースを考えます。振替を行うと土曜日が所定労働日扱い、火曜日が所定休日扱いとなります。法定休日の変更ではないため、法定休日の確保の問題はありませんが、休日出勤を行う週の所定労働日が6日になるため、時間外労働が発生しやすくなる場合があります。通常の労働時間制度では、週40時間を超える時間外労働には25%(大企業で月60時間を超える時間外労働の場合は50%)以上の割増賃金の支払いが必要となるので注意が必要です。
休日出勤時の振替休日や代休を管理するために
休日出勤は「いつ働いたのか」「何時間働いたのか」だけでなく、振替休日を取得する場合は休日出勤をした日は所定労働日になるため、給与計算上割り増しが必要になる可能性があります。
また、代休取得時には「いつの休日出勤なのか」など管理しておく必要があります。
管理運用を適切に進めるためにも、勤怠管理ツールで管理しておくと便利です。
ラクローでは
ラクローでは、振替休日と代休を明確に区別して運用できます。
振替休日の場合
休日に労働をして、別の日に振替休日を取得する場合は、休日出勤申請を申請します。ラクローでは休日出勤申請の際に振替休日の日付を指定することが可能となっており、申請が承認されると振替休日の日が休日扱いになります。
なお、残業時間の計算は自動で変更されます。
代休の場合
ラクローでは代休を取得する際にも、休日出勤日と労働時間を特定するために、休日出勤申請は必要です。申請の際には代休日を指定する必要はありません。
その後休みたい日に休暇申請で代休を申請することで、対象の休日出勤日を指定することが可能です。
休みたい日には、対象の休日出勤日に労働した時間が休暇の時間として充当される仕組みです。
実際のラクローの振替休日や代休の運用についての詳細は、Web会議やメールにて弊社担当者にご確認ください。
勤怠管理ツール「ラクロー」のご紹介
弊社の打刻レス勤怠管理ツール「ラクロー」は客観的記録をベースに把握した労働時間を、従業員や管理者が確認し労働実態にあっているかを判定しながら勤怠管理を進めることができます。
- PCログやメールの送信履歴、外部サービスなどの客観的記録をベースに打刻をせずに勤怠管理ができる「打刻レス」を実現
- 厚生労働省に「打刻レス」での勤怠管理の適法性を確認済み
- 導入企業のIPO実績も多数
休日出勤申請は、「いつ働いたのか」「何時間働いたのか」と振替休日と代休のどちらにするかで対応が変わってくるため、正確に把握しておく必要があります。
ただ、打刻がベースの勤怠管理の場合は、休日出勤の申請が従業員からされないと気づくことができないため、正確な把握が難しい点が挙げられます。また、会社側が気付かないうちに未払い賃金になってしまっている可能性も考えられます。
ラクローのように客観的記録をベースに勤怠管理を実施することで、従業員の打刻(本人の申告)に頼らずに、いつ誰が働いていたのかを正確に把握することが可能になり未払い賃金のリスクも低減できます。
詳しいご説明や、実際の運用についてはぜひオンラインデモでご相談ください。