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【社労士執筆】36協定を締結した後の残業時間管理で押さえておきたいポイントを解説!

  • 労務知識
2025-04-02

36協定とは?

36協定とは

36協定は、正式には「時間外・休日労働に関する協定書」といい、時間外及び休日の労働条件についての会社と労働者との協定書になります。労働基準法36条に基づくものであることから、一般的に「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

会社は、労働者の方に法定労働時間を超えた労働(時間外労働)や休日労働をしてもらうためには、この36協定を締結しなければならないとされています。

36協定を締結することにより、その締結範囲内においては、労働者に時間外・休日労働をさせても労働基準法に違反しないことになります(免罰的効力)。 では、36協定で定める時間外・休日労働時間は上限なく何時間でも問題ないのかというと、そうではありません。

時間外労働については、労働基準法において原則として月45時間・年360時間が上限とされています(労働基準法36条4項)。 そのため、基本的にはこの上限の範囲内でのみ36協定を締結することができます。

ただし、臨時的な特別の事情があり、一定の要件を満たす場合には、月45時間・年360時間を超える36協定を締結することができるという例外があります(このほか災害時の時間外労働等の例外がありますが、ここでは割愛します)。休日労働については、「労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、及び休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならない」とされています(36協定指針7条)。

36協定は届出が必要

36協定は締結しただけでは足りず、管轄労働基準監督署に届け出をしないとその効力が生じないとされています(労働基準法36条1項)。その届け出が受理された日から効力が生じるものとされていますので、実際に時間外労働や休日労働が発生する前に届け出る必要があることに留意が必要です。

そもそも36協定が定められたのはなぜ?

労働基準法36条は、災害等の臨時の必要がある場合(労働基準法33条1項)以外にも、事業運営上の必要から、法定労働時間・法定休日の遵守が困難となる場合があることを想定し、これに対処する柔軟性を認めるために設けられたとされています。

その際、労使協定という形で事業場の労働者の意思に基づくことが条件とされたことから、時間外・休日労働をさせるためには36協定が必要とされています。

36協定の期間はいつからいつまで?

36協定の「対象期間」は労働基準法上1年間とされています。 対象期間とは、労働基準法36条の規定に基づいて時間外・休日労働をさせることができる期間のことを指します。36協定でその起算日を定めることによって対象期間が特定され、その期間について限度時間や上限が適用されることになります。

「起算日」については特に制限がありませんので、月中の日付を起算日とすることも可能です。こちらは、給与の締日で起算日を設定すると、管理がしやすくなるものと考えます(例えば給与が毎月20日締めの場合、21日を起算日とする)。

このほか、36協定の「有効期間」を定めることになりますが、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最短でも1年間となります。1年を超える期間を定めることも可能ですが、36協定は定期的に見直しを行う必要があると考えられていることから、1年とすることが望ましいとされており、実務上も有効期間を1年としているケースが多いものと考えます。

36協定を締結した場合の残業時間の上限は?

36協定の一般条項と特別条項とは

時間外労働について月45時間・年360時間の範囲内で定める36協定の条項のことを「一般条項」といい、それを超える例外的措置を定める36協定の条項のことを「特別条項」といいます。

36協定の特別条項が適用できるのは年6回まで

特別条項は、あくまで臨時的な特別の事情がある場合に適用できるものであることから、年6回までしか適用できないこととされています(労働基準法36条5項)。

36協定における時間外労働には所定外労働時間が含まれない?対象は実労働時間のみ?

36協定で定める時間外労働時間は「法定外労働時間」になりますので、原則1日8時間・週40時間を超えた時間を集計し、それが36協定で定める上限時間を超えないようにすることになります。 すなわち、法定労働時間を超えない「所定外労働時間」については、36協定で定める時間外労働時間には含まれません。

なお、ここで集計する時間外労働時間は「実労働時間」になります。そのため、年次有給休暇などの実際に働いていない時間については、集計に含める必要がありません。

36協定の特別条項の単月と複数月平均は法定休日も含まれるので注意

臨時的な特別の事情がある場合には特別条項を適用することができるというお話をしましたが、以下の上限規制があります(労働基準法36条5項、6項)。

  • ①時間外労働が年720時間以内
  • ②時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
  • ③時間外労働と休日労働の合計について、2~6か月平均がすべて1月あたり80時間以内
  • ④時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

このうち、①と④は「時間外労働」のみで判断することになりますが、②と③は「休日労働」も含める点に留意が必要です。

36協定の時間外・休日労働時間の管理運用で気を付けることは?

労働時間制度による時間外労働時間の集計の違い

採用している労働時間制度によって、時間外労働時間の集計方法に違いがあります。

(1)通常の固定労働時間制を採用している場合

通常の固定労働時間制(例えば1日8時間、週5日勤務)を採用している場合は、1日8時間・週40時間を超える部分を時間外労働時間として集計することになります。

(2)裁量労働制を採用している場合

裁量労働制を採用している場合も、通常の固定労働時間制を採用している場合と同じく、1日8時間・週40時間を超える部分を時間外労働時間として集計することになります。

ただし、裁量労働制は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ労使で取り決めた時間労働したものとみなしますので、原則として時間外労働時間の集計はこの取り決めた時間に基づくことになります。 すなわち、仮に1日のみなし労働時間が9時間で週5日勤務だとした場合、1日1時間×5日間(=5時間)分の時間外労働が発生することになります。

(3)フレックスタイム制を採用している場合

フレックスタイム制を採用している場合には、清算期間における実労働時間のうち、「清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数」が時間外労働時間となります。この法定労働時間の総枠は「1週間の法定労働時間(40時間)×清算期間の暦日数÷7日」で計算します。

すなわち、仮に清算期間が1か月で対象月の暦日数が31日の場合、1か月の法定労働時間の総枠は177.1時間となりますので、これを超えた時間が時間外労働時間となります。 通常の固定労働時間制や裁量労働制のように、1日・週で集計することにはならない点に留意が必要です。

(4)変形労働時間制を採用している場合

1か月単位や1年単位の変形労働時間制を採用している場合の時間外労働時間は、原則として以下の方法により集計します。

  • ①1日の時間外労働時間は、労使協定等で1日8時間を超える労働時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
  • ②1週の時間外労働時間は、労使協定等で1週40時間を超える労働時間を定めた週はその時間、それ以外の週は1週40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く)
  • ③対象期間の時間外労働時間は、対象期間の法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①、②で時間外労働となる時間を除く)

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システムで管理する場合も留意が必要

勤怠管理システムを利用することで、時間外労働時間等の集計を効率化することが可能です。 しかし、単にシステムを入れればよいというわけではありません。

時間外労働と休日労働の違いなど、労働基準法の規制内容を正しく理解し、会社が採用している制度や運用を理解したうえで、それに沿ったシステムの設定をしておかないと、システムで集計されるデータに誤りがあり、正しい労働時間管理ができない、という事態に陥るケースがよくあります。

システムをうまく活用すれば、労働時間管理や給与計算作業を効率化することができますが、その設定には留意が必要です。

36協定に違反した場合の罰則

36協定に違反した場合、労働基準法違反として「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科されるおそれがあります(労働基準法119条1項)。

36協定違反にならないために

36協定を出しなおす場合は?

対象期間の途中で、既に締結している36協定の内容を変更することは原則として認められないとされています(厚生労働省労働基準局「改正労働基準法に関するQ&A」(平成31年4月)Q2-5参照)。

ただし、「複数の事業場を有する企業において、対象期間を全社的に統一する場合のように、やむを得ず対象期間の起算日を変更する場合は、36協定を再締結した後の期間においても、再締結後の36協定を順守することに加えて、当初の36協定の対象期間における1年の延長時間及び限度時間を超えて労働させることができる月数を引き続き遵守しなければなりません」とされています。

すなわち、対象期間を変更することに合理的な理由がある場合には、36協定を再締結することが可能であり、その場合には当初の36協定の内容、再締結した36協定の内容を順守する必要があることになると考えます。

36協定の起算日と給与計算の起算日が違うと集計が大変

36協定の起算日と給与計算の起算日が異なると、時間外・休日労働時間の集計を二重で行う必要性が出てくることから、管理が煩雑になるおそれがあります。

たとえば、ある会社の36協定の起算日が「4月1日」で、給与計算の締日が毎月15日であるとします。 この場合、給与計算をする上での時間外・休日労働の起算日は「16日」となるため、36協定の起算日である「1日」とずれが生じることになります。

そうすると、36協定に違反していないかどうかを判定するために、時間外・休日労働時間の把握を当月1日~当月末日の期間で集計する必要があると同時に、給与計算上の割増賃金を計算するために、時間外・休日労働時間の把握を別途当月16日~翌月15日で行う必要性が生じます。

これに対し、36協定の起算日が「4月1日」で、給与計算の締日が毎月末日である場合、毎月1日~末日までの時間外・休日労働時間のみ把握すれば、36協定に違反していないかどうかの判定と給与計算上の割増賃金の計算ができます。

すなわち、36協定の起算日と給与計算の起算日は合わせたほうが、実務上の管理がしやすくなります。

管理監督者は36協定の規制対象外

なお、労働基準法上の管理監督者に該当する方は、時間外・休日労働の規制が適用されませんので、36協定の規制の対象外となります。 ただし、そもそもその方が本当に管理監督者に該当するのかという点、管理監督者であっても労働時間の管理自体は必要である点には留意が必要です。

36協定の管理もシステムで効率化しませんか?

36協定は一般条項や特別条項それぞれ分けて管理する必要があり、また休日の扱いも違うため勤怠管理システムなどで効率的に管理することがおすすめです。
使っているシステムによっては、36協定で届け出ている時間に近づくとメールなどでお知らせしてくれるアラート機能など充実しているシステムもあります。

弊社のラクローでは一般条項、特別条項をそれぞれの項目で管理でき、それぞれの時間に近づくとアラートメールが届くようになっています。また、2ヶ月〜6ヶ月などの複数月の平均なども一覧で確認いただけます。

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