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【社労士監修】月末月初で月をまたぐ週40時間労働の計算方法について

  • 残業代計算
  • 労務知識
2019-10-21

1日8時間、週40時間を超えると時間外割増が発生しますが、月末月初で月をまたいだ場合(本文では月末〆の賃金計算を前提とします)、労働時間はどのように計算されるのでしょうか。月末で一旦締めるのか、それとも月をまたいで暦週で労働時間を計算するのか、どちらが正しいのか解説します。

この記事で解消する疑問と回答

賃金計算が月末〆の場合、 月末月初をまたいだ週の法定外労働時間は、どのように計算すればよいのでしょうか。月末で一旦占めるのか、一週間の起算日を元に通常通り計算するのかどちらが正しいのでしょうか?
法定労働時間に関しては、「週単位」でカウントする事が義務付けられているので、月をまたぐ週であっても通常通り起算日をもとに週単位で計算することになります。
週休2日制で日曜日を法定休日としている会社です。賃金計算は月末〆です。月初めに土曜出勤があったため、前月最後の日曜日から当月にかかる1週目の土曜日までの1週間で見ると週の労働時間が46時間になりました。この場合の割増賃金は週で考えて40時間を超える部分の6時間分に対して支払うのでしょうか?
月をまたいだ場合でも、原則通り暦週(日曜日から土曜日)で労働時間を計算し、40時間を超えた部分に対して割増賃金を支払うことになります。なお、割増賃金分は翌月分として支払えば問題ありません。

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日またぎ勤務の残業代計算について以下で解説しています。あわせてご覧ください。

重要ポイントと根拠法令

ポイント①:1日8時間、週に40時間を超えて働かせた場合に25%以上の割増賃金が発生します。なお、労働時間の計算は、月をまたぐ週であっても通常通り起算日をもとに週単位で計算します。

根拠①: 労働基準法第32条1項

使用者は、労働者に、休憩時間を除き 1 週間について 40 時間を超えて、労働させては ならない。

根拠②:労働基準法第32条の3

時間外労働とは 労基法で定められた1週 40 時間、1日8時間を超えて働く時間。

根拠③:労働基準法第37条第1項

使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

ポイント②:起算日は基本的には就業規則等で、「1週間とは月曜日から日曜日とする」などと定めれば足ります。就業規則等で特段の定めがない場合には、暦週(日曜日から土曜日)で区切るのが行政の解釈です 。

根拠④:昭63.1.1 基発1号

一週間とは、就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週をいうものであること。

計算の具体例

【問題】以下の労働をした場合、労働時間の計算として正しいのはどちらでしょうか?

(※賃金計算期間は月末〆とします)


    日付     労働時間

   8月30日(日)    8時間

   8月31日(月)    8時間

   9月 1日(火)   8時間

   9月 2日(水)   法定休日

   9月 3日(木)   8時間

   9月 4日(金)   8時間

   9月 5日(土)   8時間


① 8月30日~8月31日と9月1日~9月5日の、二つに分けて計算した場合

 8時間×2日=16時間

 8時間×4日=32時間

 ⇒法定労働時間内におさまっている。


② 8月30日~9月5日まで通しで計算した場合

 8時間×6日=48時間/週

 ⇒週40時間を超えてるため割増賃金が発生!!


【答え】正解は②です。

このように月末月初の労働時間の計算を誤ると割増賃金の支払いについても誤る可能性が出てきます。未払い残業代が発生しないように正しい管理が必要です。

違反例と罰則

6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。

また未払い残業代の請求があった場合、未払い金の他に、付加金、遅延損害金の支払いが命じられることもあります。

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