前回の「なぜ勤怠管理をする上で客観的記録が必要なのか?」の記事はこちら
PCログと勤怠記録を照合した結果に、どのくらい乖離があった場合にチェックすべきですか?
より客観的な記録の取得のためにPCログと勤怠記録を照合することになった場合に、労務担当者がぶつかる壁として「PCログと勤怠記録を照合した結果、結構ずれてる・・・」ということだと思います。
PCログと勤怠記録の乖離はゼロじゃないといけない?
PCログについてはPCの稼働状況によって(スリープ状態など)、本来労働時間にならないものが労働時間としてカウントされてしまうといったことも起こりえますし、「PCログ=絶対的に正しい」という方程式が成り立つわけではありません。
また、PC稼働がされていたとしてもそれが私的なPC利用の場合にはそもそも労働時間性の要件である指揮命令下にはないとして労働時間カウントが不要ということもあります。
そのため、PCログと勤怠記録のずれというのは多かれ少なかれ発生するもの、と認識していて良いと思います。
たとえずれていたとしても、
②なぜずれているのかを従業員にヒアリング等で調査
③「PCを使ってはいたが、ネットサーフィンしていたので勤怠記録からは抜いていた」ということが判明
④備考欄等でそのずれている理由を記録しておく
このような形でなぜズレていたかを把握し記録しておくことができれば、特段ずれが発生していたとしても恐れることはないと顧問先にはお伝えしています。
PCログと勤怠記録に乖離が発生した場合、どのように理由をかけばいい?
自己申告とPCログ等の客観的記録の乖離が発生する理由には、いろいろなパターンがあると思います。
特にPCログなどの客観的記録のほうが長く、勤怠記録の方が労働時間が短く出るケースが一般的には多いのではないでしょうか。
PCログと勤怠記録に乖離が発生して場合の理由例
実際に乖離が発生していた理由として、例えば
・単にPCの電源切り忘れ
・夕飯を食べに中抜けしていた
などの時間が労働時間に含まれてしまっている、ということもよくあるケースだと思います。
この場合は、それぞれ「PC電源切り忘れ」「私用による中抜け(夕飯による外出)」のように端的にわかる理由を従業員には記載していただくことで問題はないと考えています。
「どこまで具体的に記載していただけばいいのか」、「従業員によって理由の粒度・具体性が異なっていていいのか?」などはよくある疑問です。ただ、自己申告と客観的記録がズレている理由を調査すること自体に本質的な価値があるので、その粒度にばらつきがあっても大きな問題ではないと考えています。
具体例として、備考欄に「取引先A社との会食のため」といった理由が上がってきた場合、もし現場ベースで上長の命令を受けて強制的に参加した・・といった場合。
その会食も労働時間になる余地があるわけですので、労務としては追加でヒアリングを行い、必要に応じ労働時間として算入する、といったことが必要になります。
このように乖離が発生していた場合に、その時間が労働にあたるのかそうではないかが乖離チェックとずれている理由を述べさせる本質なのではないでしょうか。
PCログと勤怠記録の乖離理由はさまざま
一概にどの粒度で記載するか・・・というのを述べるのは難しいところですが、従業員には「できる限り具体的に、かつ端的に事実を記載してください」といった周知をして、上記のような具体的なケースをいくつか例示しておくのが良いかもしれません。
なお、自己申告のほうが客観的記録よりも労働時間が長く出る場合にも、会社としてそれが労働時間だったのかという調査は必要になると考えますので、PCログ等に反映されていなかった理由等を記載いただくことになります。
PCログと勤怠記録に何分の乖離があればチェックするの?
たとえば勤怠記録では9時~18時までとなっているが、PCログ上は、8時57分~18時5分となっていた…という微妙なずれがある場合も多くあると思います。
こうしたわずかな乖離の場合に、それをすべてヒアリングして…というのは(もちろんできればそれに越したことはありませんが)労務担当者のリソース等からも実務上難しいケースは多くあると思います。
何分ずれていたらチェックすべきか、という点について教科書的には1分でもずれていたら…というところではあると考えますが、実務上、現実的なラインとしては労働基準監督署の調査等でも、30分程度の乖離があれば乖離程度が高いとして判断されるケースが多く、30分というのは一つの目安になると考えています。
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弊社の打刻レス勤怠管理ツール「ラクロー」は客観的記録をベースに把握した労働時間を、従業員や管理者が確認し労働実態にあっているかを判定しながら勤怠管理を進めることができます。
客観的記録をベースに勤怠管理をすることで、打刻をしていた際に必要だった客観的記録との乖離チェックが不要になります。結果、より効率的に適正な勤怠管理を実現することが可能になっています
まずはぜひお気軽にご相談ください。
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